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031『世界一わかりやすい 英単語の授業』

本日の英語本:


世界一わかりやすい 英単語の授業世界一わかりやすい 英単語の授業
(2010/06/23)
関 正生

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 以前、この本のDVDについての記事を書きましたが、改めて本の書評を書こうと思い、通読してみた。
 まず表紙にもあるように「学習のリズム・テンポを重視した英単語の参考書」ということで、確かにその文言どおりどんどんページが進んでいき、途中休憩を入れても3時間程度で読み終えることができる。これでも丁寧に読んだつもりなので、もっと早く読める人もいるでしょう。基本構成は、見開き左ページがクイズ、右ページが解説なのですが、左ページはあってないようなものなので、実に紙面が贅沢に使われている。ですからページ数の割りに掲載単語数は少なく、それでいて1500円というのは正直高い。
 さて肝心の内容ですが、本書の特徴を述べる項にてこのようなことが書かれていた。
派生語、同意語、反意語はカット(中略)従来の単語集はお得感を出すために、いろんな情報を詰め込みます。でもそれが記憶のジャマになります。
たしかにそういう単語集が存在しないとは言わないが、

 同意語や反意語が記憶のジャマというのはいかがなものか?

 反意語とセットで覚えることで記憶のし易さが格段に変わるものがある。例えば私の話だがdemoteという単語の意味がなかなか覚えられなかった。しかし、promote「昇進」の反意語がdemote「降格」と書いてる参考書を見たことで一瞬でdemoteを記憶できたことがある。demoteは馴染みのない単語であるがpromoteはプロモーションビデオとか、日本語でも馴染みがある単語。それの反対と覚えればスッキリである。また、同意語も並べてみると実は同じような綴りのものが多く、それらを関連付けて覚えると覚えやすいってのは往々にしてある。例えば、rebuffという単語は英検1級レベルの難単語だが、refuse = reject = rebuff「拒絶する」と一緒に覚えることで記憶しやすくなる。同意語や反意語が暗記を手助けしてくれることはよくあることだ。
 
 そのくせ派生語は極力カットしたといいながらも、terminateとterminalは見出しを2つに分けて解説している謎。理解に苦しむとしかいいようがない。

 さらに関氏は同意語や反意語の不要さをこんな例えで説明しています。
同意語・反意語も無視です。ここまで手を出すと膨大な時間のロスします。日本語で考えてみましょう「細かい」の同義語:微小な・微細な・緻密な・・・(中略)これを言えたところで飲み会の席で「おぉ~」と言われて終わりです。

いや、違うでしょ(笑)?

この人、本気でこんなこと言ってるの(笑)?

と神経を疑いたくなる。英語の文章はパラフレーズで書かれ、同じ意味の語を違う単語で表現する言語であり、実際、大学受験の英語ではそのパラフレーズが読み取れるかを問う問題はいくらでもある。それらをしっかり読み、理解するには、ある程度の同意語を知っている必要があるのだ。老舗の英単語帳が同意語を重んじているのはそういった理由からである。同意語を掲載し、学生の英文読解の負担を少しでも軽減してあげようと尽力していた先人の方々への冒涜すら思える発言だ。同義語を知っているとその分だけ英文読解が楽になる。数多ある参考書が同義語を載せるのは

決してお得感を出すためではなく、単純にそれが必要だから

である。と、こういうことを書くとまた揚げ足を取っていると言われるのかもしれませんが、揚げ足取りでしょうか?

 また氏はこの本は読み物ではないと書いていますが読み物以外だったら何?という話である。単語集などとはどうひっくり返しても思えない参考書である。この単語本に掲載されている400語が不要とは言わないが、その400語をこの単語本で覚える必要はまったくと言っていいほどない。
 「PART10 美容・ファッションから覚える」や「Part11 車・ゲームから覚える」はその分野に興味のない人、知識のない人にはむしろ諸刃の剣で覚えづらいとすら感じた。特に免許を持っていない高校生などは「車から覚える」と言われても、アライメント(alignment)やレストア(restore)など、その用語自体に馴染みの無い学生の方が圧倒的ではなかろうか?そもそも限られた400語の中でこれらの単語を掲載するセンスにも驚かされる。使用頻度など全くもって考慮していない。

 いずれにせよ、この本から得られる知識量はたかが知れている。語源なども紹介されているが実に中途半端で、あえてこの本で学ぶ必要性は1ミクロもない。真剣に大学受験を考えている学生は素直に売れ線の英単語帳をやるべきだ。

【評価】★☆☆☆☆(1/5)
【対象レベル】偏差値50~
【著者】関 正生
【定価】1500円+税
【出版社】中経出版
【初版年月日】2010年6月24日
【関連記事】
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Author:ひとり

198X年生まれ。

高校英語教師。

参考書収集家。

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